カテゴリー:こども図書館
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記事分類:お知らせ公開日:2024年1月24日
こども図書館職員が中国新聞「子どもたちへ本の招待状」(2023年5月)で紹介した本を対象別にまとめました。
本選びの参考にいかがですか?
『ノウサギのムトゥラ』
ビヴァリー・ナイドゥー 作 ピート・フロブラー 絵 さくま ゆみこ 訳 (岩波書店)
むかし、アフリカ南部にあるコロロの丘に、いたずら好きなノウサギのムトゥラがすんでいました。ある朝、ムトゥラは池に向かう途中、ゾウが倒した木の下敷きになります。
体が小さいことをばかにするゾウに、ムトゥラは綱引き勝負を提案します。勝負は次の日の朝だとゾウに伝えたムトゥラは、急いで池に行き、カバに話しかけます...。
この「ゾウとカバのつなひき」など、アフリカ南部に伝わる昔話を基にした話が八つ収録された一冊です。どこか憎めない小さなノウサギが、大きな動物たちを知恵で出し抜く姿がユーモラスに描かれています。
『マッチ箱日記』
ポール・フライシュマン 文 バグラム・イバトゥーリン 絵 島 式子 訳 島 玲子 訳 (BL出版)
ひいおじいちゃんの部屋には、マッチ箱がたくさん入った箱があります。ひいおじいちゃんはマッチ箱を一つ一つ開け、中に入れてあった小さな品物を取り出しながら、それにまつわる思い出をひ孫に話してくれました。
オリーブの種は、貧しかった故国のことを。魚の骨は、缶詰工場で働いた時のことを。チケットの切れ端は、父さんと一緒に見た、初めての野球の試合のことを...。
マッチ箱に入っていたものは、ひいおじいちゃんが生きてきた日々の、大切な日記だったのです。
新年度が始まって1カ月。日記に残したい思い出が、たくさんできるといいですね。
『足音がやってくる』
マーガレット・マーヒー 作 青木 由紀子 訳 (岩波書店)
幼い頃から他の人には見えない不思議なものが見えていた少年バーニー。ある日、彼は幽霊のようなものから「バーナビーが死んだ!ぼくはとってもさびしくなるよ」と言われます。
その直後、姉からバーナビー大叔父さんが亡くなったと伝えられます。彼は怖くなりましたが、家族に心配をかけないために幽霊のことは黙っていました。しかし、この日から頭の中で声や足音が聞こえるようになります...。
奇妙な声や近づく足音の正体は一体何なのか。恐怖に追い込まれていく少年とその家族の姿に、ドキドキしながらも思わず読み進めてしまう一冊です。
『きいちごだより』
古矢 一穂 絵 岸田 衿子 文 (福音館書店)
6月のある日、りすのりすえちゃんが、くまのくまたくんへ手紙を書きました。川へ下りる道で、きれいなミカン色のモミジイチゴを見つけたのです。
初夏から夏、秋から冬へと季節が移る中、ウサギやウシ、イノシシなどいろいろな動物たちが、自分の村の木イチゴのことを手紙に書いて、友達に送ります。ナワシロイチゴにバライチゴ、デューベリーなどの実が、実物大でページいっぱいに鮮やかに描かれています。
巻末にはさまざまな木イチゴの解説や、お菓子の作り方も載っています。動物たちの性格や、村の様子まで見えてくるような手紙もすてきな絵本です。