2024年6月24日掲載（対象：小学校中学年から）

『やとのいえ』
八尾 慶次 作（偕成社）

「谷戸（やと）」とは、なだらかな丘に挟まれた浅い谷のことです。この本は、谷戸に新しく建てられた１軒の家を中心に、明治から平成までの約150年間で、農村から都市へと変わっていく様子を描きます。

家のそばに置かれた石仏「十六らかん」が、次第に移り変わる谷戸の人々の暮らしを、表情豊かに見守り続けてくれます。どこか懐かしく感じる谷戸の景色が定点観測で緻密に描かれ、探し絵のように楽しむことができます。

巻末の詳しい解説と各ページの絵を見比べることで、当時の暮らしをより深く知ることができるでしょう。家族で一緒に読んでほしい絵本です。