こども図書館職員が中国新聞「子どもたちへ本の招待状」(2022年6月)で紹介した本をまとめました。
本選びの参考にいかがですか?
『雑草はなぜそこに生えているのか』
稲垣 栄洋 著(筑摩書房)
雨上がりには、木々の葉や草花の緑が鮮やかになり、雑草も元気に増えますね。「雑草」というと、どこにでも生え、抜いても減らない邪魔な存在だと思いがちですが、実はとても賢いのを知っていましたか?
長い種と短い種が一つの実の中に入っているオナモミ。芝刈りの高さに合わせて成長するスズメノカタビラ。パートナーとしてふさわしいハチを選び、花粉を運ばせるホトケノザ...。
さまざまな「雑草」が、生き延びるための戦略を考え、自分の居場所を見つけています。「それぞれが違うからこそ生きられる」と、植物に教えられる一冊です。
『きのうの夜、おとうさんがおそく帰った、そのわけは...』
市川 宣子 作 はた こうしろう 絵(ひさかたチャイルド)
お父さんがなかなか帰ってこない日がありませんか。そんな時、お父さんは何をしているのでしょう。
あっくんのお父さんは夜とても遅くなることがあります。実は、道で穴を掘ったり、池でボートをこいだり、土手でホームランを打ったりといろいろな活躍をしていたのです。なぜそんなことをしていたかというと...。
この本には、誰かのため、家族のために頑張ってくれる、優しくて頼れるお父さんの姿が描かれています。お父さんが遅く帰ってきた次の日、何をしていたのか尋ねてみると、思いもよらない「わけ」が聞けるかもしれませんよ。
『かき氷』
細島 雅代 写真 伊地知 英信 文(岩崎書店)
夏至も過ぎ、もうすぐ夏本番。暑くなると、冷たいものが欲しくなりますね。
今は冷凍庫で一年中作れる氷ですが、昔は冬に凍らせた氷(天然氷)を保存して使っていました。
この本では、明治時代から埼玉県長瀞(ながとろ)で天然氷を作る氷屋さん「阿左美(あさみ)冷蔵」を取材し、その氷作りの様子を美しい写真でつづっています。
冬、山あいにある専用の池に水を入れ、何度も何度も掃除をし、氷を切り出す作業は、ほとんどが人の手によるもの。昔ながらの伝統的な製氷業を営む様子は興味深く、自然と人の手間で作られた天然氷を使ったかき氷は、見ているだけで涼しくなれます。