
原民喜の作品をいくつかご紹介します。
1.夏の花 2.焔 3.ガリバー旅行記 4.心願の国 5.鎮魂歌 |
6.永遠のみどり 7.苦しく美しき夏 8.秋日記 9.美しき死の岸に 10.三田文学 |

「苦しく美しき夏」
原 民喜 自筆メモ
ノートの一部に草稿の一部が。
当館整理No.938
自宅で療養する妻との生活の中で、幼年時代の思い出や夢を綴る。それらには常に死の影がまとわりついているが、主人公は運命のすべてを受け入れ、ただ静かに待っているかのようである。
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気分のいい日には、妻は自然の恵みを一人で享けとっているかのように静臥椅子で沈黙していた。すべて過ぎて行った時間のうち最も美しいものが、すべて季節のうち最も優しいものだけが、それらが溶けあって、すぐ彼女のまわりに恍惚と存在している。そういう時には彼も静臥椅子のほとりでぼんやりと、しかし熱烈に夢みた。たとえ現在の生活が何ものかによって無惨に引裂かれるとしても、こうした生存がやがて消滅するとしても、地上のいとなみの悉くが焼き失せる日があるとしても・・・。
文芸雑誌 明治43(1910).5〜
永井荷風を中心に森鴎外、上田敏を顧問として創刊。義塾大学の三田文学会機関紙で、創刊時は耽美主義的色彩が強く、「早稲田文学」の自然主義に対立した。久保田万太郎、水上滝太郎、佐藤春夫らが活躍。戦後、編集者は丸岡明から木々高太郎を経て若い世代に引き継がれた。石坂洋二郎・丸岡明・原民喜・堀田善衛らを輩出している。昭和期に雑誌の性格は変わるが、断続しつつ現在に至る。
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